いちたま小屋いちたま小屋

夜が星をしたがえて

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これは、或る男が遺した手紙である―― ちょうど世の中の空気がひりひりと乾きだした時代の頃だった。 私は地方をあちらこちらと飛び回り、怪しい骨董品を集めることを生業としていた。怪しげな物々を手に入れたいと思う客が多くいたのだ。 ある日、私は痛んだ木箱と出会った。中には一丁の銃と銀の弾丸。持ち主が言うには吸血鬼狩りに使われていたものだという。 実のところ、品に纏わる物語を信じたことは一度もない。だが物語のある品は売れるのだ。私は喜んでそれを買い付けた。 値段は自分の腕次第で跳ね上がる。持ち主が滔々と語った与太話を美しく加工すれば良いのだ。私は酒を飲み、汚れた銃身を磨いていた。 そんな時である。 木箱の底板から、一通の手紙が現れたのだ。 今にも崩れ落ちそうな紙束に綴られていたのは、或る男の恋文だった。 ********** 手紙をイメージしたA4サイズの本文(カラー)4枚+αが、二つ折りで封筒に入っています。 イラストはいとうのいぢさん。 本文は市川珠輝です。 2014年冬コミで頒布しました。

これは、或る男が遺した手紙である―― ちょうど世の中の空気がひりひりと乾きだした時代の頃だった。 私は地方をあちらこちらと飛び回り、怪しい骨董品を集めることを生業としていた。怪しげな物々を手に入れたいと思う客が多くいたのだ。 ある日、私は痛んだ木箱と出会った。中には一丁の銃と銀の弾丸。持ち主が言うには吸血鬼狩りに使われていたものだという。 実のところ、品に纏わる物語を信じたことは一度もない。だが物語のある品は売れるのだ。私は喜んでそれを買い付けた。 値段は自分の腕次第で跳ね上がる。持ち主が滔々と語った与太話を美しく加工すれば良いのだ。私は酒を飲み、汚れた銃身を磨いていた。 そんな時である。 木箱の底板から、一通の手紙が現れたのだ。 今にも崩れ落ちそうな紙束に綴られていたのは、或る男の恋文だった。 ********** 手紙をイメージしたA4サイズの本文(カラー)4枚+αが、二つ折りで封筒に入っています。 イラストはいとうのいぢさん。 本文は市川珠輝です。 2014年冬コミで頒布しました。